御宿富久千代からのんびり歩いて10分のところに2023年にオープンした、1日1組様限定の宿泊棟です。ご夕食は本邸の草庵鍋島にご用意します。
御宿富久千代別邸は、茅葺町家が密集して建ち並ぶ漁師町である重要伝統的建造物群保存地区である浜庄津町浜金屋町地区(庄金地区)にあります。このような町は全国でもほとんどないため、文化庁がこの地区を保存地区にしたいと考えて肥前浜宿は保存対策調査が行われました。
別邸は、その茅葺町家のなかでも、当時この地区で行われていた節(イワシ等の削り節)の加工業を行っていた漁家の家屋で、少なくとも明治前期に建てられた2階建て茅葺町家です。現在の表玄関には、当時の囲炉裏が残っており、2階に向けて排煙され、2階で節を乾燥させていたと考えられています。肥前浜宿にはそのような茅葺漁家が多くあったと考えられていますが、今やこの建物しか残っておらず、貴重な建物です。
保存修理の際には、茅葺屋根を茅葺職人の技術の粋を集めて施工しました。丸みを帯びて先端が少し上がった形を取り、しっかりと強く叩いてつくったため、美しく肥前浜宿らしい茅葺屋根が実現しました。2階では、その屋根を見ながら大画面TVや音楽をお楽しみいただけます。床暖房も完備なので、冬場でも暖かく非日常を楽しんでいただけると思います。